シンガポール便り・2
新しい国づくりと公衆衛生
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.212-213
発行日 1971年4月15日
Published Date 1971/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204239
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今日,シンガポールは東南アジア地域において,その保健水準の高いことで特異な地歩を占めている.とくに最近10年におけるその発展はめざましい.1959年と69年を比較すると,国民総生産では約20億シンガポール・ドル(S$)から約50億S$(1S$は約120円)と約2.5倍に,1人当たり国民所得では1,262S$から2,437S$と約2倍の伸びがみられる.しかもこのあいだ物価の上昇が僅少である事実は特筆に値しよう.
シンガポールは若い国,新しい国である.全人口の54%が20歳以下で,60歳以上は5%弱に過ぎない.大臣も国会議員も30歳台の人が多い.さらに大きな特色はこの若さに溢れた人びとが,その人種構成の多様性にもかかわらず,新しいシンガポール人としての誇りをもって国づくりに精いっぱいの努力を払っていることである.そしてこのたくましい国づくりの基盤となっているのが,この国の保健水準のめざましい向上であり,公衆衛生の推進に対する政府のきわだった努力であるといってよい.
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