人にみる公衆衛生の歴史・1
長与専斎(1838〜1902年)—衛生行政の反動化のなかでいかに住民を守るか
川上 武
1
,
上林 茂暢
1
1杉並組合病院内科
pp.122-123
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204214
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国民は衛生学の復権を心からのぞんでいる.公害・労働災害・職業病は,日をおって増加し,マスコミにとりあげられぬ日はない.都市の空・川・海はすでに死滅しているに等しく,このまま放置するならば,やがて日本の自然を破壊しつくしてしまうにちがいない.いまや,公害との闘いに日本民族の命運がかかっているといっても過言ではないであろう.
ところが,公害との闘いに,医学・衛生学はまったく立ちおくれてきた.もっぱら,闘いは,市民運動にまかされている.疾病の性格からみて治療医学が無力なのはいうまでもないとして,ほんらい,その予防をにない,理論的・技術的基礎をつくる衛生学がいかなる役割をはたしてきたか.
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