特集 明治百年と公衆衛生
ひと
長与専斉と医制
曽田 長宗
1
1国立公衆衛生院
pp.38-41
発行日 1968年1月15日
Published Date 1968/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203609
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明治百年にちなんで,わが国衛生行政の創始期に,約20年間,最高の責任者たる地位にあった長与専斉の事蹟をかえりみ,また最初に医学教育および衛生行政の総括的方針をうたった医制76条の制定公布のいきさつをふりかえり,われわれの先達が,どのような考えで,どのように苦心し,努力を払ったかをしのぶことは,これからの医学教育,医療保健活動のありかたを考え出すのに大きな助けとなるであろう。
もちろん,わが国の医学教育や医療保健行政が,内務省衛生局長を長年勤めた長与専斉一個人によって創められ,発展させられたものと考えたり,広汎な内容が盛り込まれているとはいえ,医制の研究だけで明治政府の医学,衛生に関する方針の検討が尽くせるものとしたりすることは,大きな歴史の流れのうちに事象の社会的意義を探ろうとする立場から見て,明らかにまちがいといわなければならないであろう。しかし中心的な人物,総括的基本的な法規として,長与専斉や医制にアクセントを置き,明治政府初頭の衛生行政創業の跡を辿るということは,必ずしも不当な企てといいえないと思われるので,編集当局の指示にしたがって本文を草する次第である。
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