厚生だより
予防接種事故に関する措置について
S. T
pp.689
発行日 1970年11月15日
Published Date 1970/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204171
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本年6月15日,厚生大臣の諮問機関である伝染病予防調査会の中間答申が発表された.この答申は,同調査会が43年5月以来約2年間にわたって急性伝染病予防対策全般について審議を行なってきたもので,その中には予防接種対策についてものべられている.この答申発表と前後して報じられた種痘後におこった何例かの副反応の症例が新聞紙上などに報じられ,これらを契機にして,種痘をはじめとする各種の予防接種の副反応に対する不安が強くなり,これに対する施策を求める世論が急速にたかまってきた.
予防接種の事故対策については,上記答申の中にも重要な問題としてとりあげられており,民法または国家賠償法で救済される場合を除いて,国が被害者を簡易な手続きにより敏速に救済し得る制度を,早急に確立すべきであるとしている.もともと予防接種事故に対する対策としては,使用するワクチンの改良と接種時期を含めた接種方法などの改善をはかることがその根本であり,とりあえず種痘については,今年度1,400万円の予算をもって弱毒ワクチンの研究に着手するとともに,接種方法や接種時の注意などについては,6月と8月に各都道府県に通知したところである.
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