特集 公衆衛生活動の将来像
公衆衛生政策の基本的課題
厚生科学研究班
pp.4-12
発行日 1970年1月15日
Published Date 1970/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204007
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課題の背景
--ヘルス・ニーズの変化と公衆衛生の課題
1.わが国の公衆衛生は,日本国憲法の理念に基づいて,戦後の国,地方を通ずる行政機構の改革,各種衛生法規の整備,全国的な保健所網の整備,充実などを基盤とし,医薬の進歩,国民の生活水準の回復などと相まって,とくに昭和20年代においては,急性伝染病の防遏,乳児および青年期における死亡率の急速な低下,結核死亡の激減などに,画期的な成果をあげたことは周知のとおりである.
2.しかしながら,昭和30年代以降においては,社会的,経済的変動の急激な進行によって,国民の健康と生活には質的,構造的な変化が顕著となり,かつこれらの変化が過大都市における過密化と山村辺地などにおける過疎化を両極として,住民の傷病,死亡像についてもそれぞれの地域の特性を鋭く反映した多様な変化が進行しつつあるため,公衆衛生の諸活動については,従来の方法と態勢のみをもっては,健康水準の向上と保健問題の解決に有効に対処することが困難な状況に立ち至った.
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