特集 第10回社会医学研究会
開会のあいさつ
激動する状況のもとで
吉田 克己
1
1三重県大・公衆衛生
pp.661
発行日 1969年12月15日
Published Date 1969/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203985
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第10回の社会医学研究会がやってきました.今年は,われわれ医学関係者,特に大学関係者にとってはたいへんな激動期になっております.すでに日本における大学問題は,それ自体で1つの大きな社会的政治的課題であり,すでに2年以上の長きにわたって紛争が続いております.この問題は医科大学がかかえていたいろいろな矛盾が,そのきっかけになったことはよく知られているとおりであります.しかもこの問題は不幸にして,医学界における封建制や古い支配構造を正しく解決するのではなく,なんらの建設的目標や行動をもたない単なる破壊的行動のみを至上とする一部の人たちによって,より複雑なものとなっております.また,一方,最近この問題に対処するためと称して,大学運営臨時措置法案なるものが現われ,大学の自治,学問思想の自由に対するきわめて重大な脅威となってきております.
このようないくつもの問題が,山積みした状況の下で,この研究会の開催を準備された名大医学部の事務局の方々はたいへんな苦労をされました.この点,厚くお礼申し上げます.また,このために一部に準備に不十分な点があるかもしれませんが,この点お許しを願いたいと思います.また,演題についても例年より少なくなったことはざんねんだったと思います.
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