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以上の成績を総括すれば--
(1)普通の薬剤,保健剤,栄養剤などの使用量は世界の民族で日本人が世界一であるといわれているが,まさに肯定できるようである.
(2)使用されている保健栄養剤は,Vit.剤についで強肝剤が多いようである.
(3)しかし極端な使用,たとえば大量療法といった使用方法を行なっている人はいないようである.
(4)継続的に使用している者の多くは,効果があると答えている.
(5)しかし毎日決まった時間に使用している者は少ない.
(6)組成成分に無頓着に使用しているのは学生男女共に多い.
(7)栄養剤のPRはかなり普及し徹底しているといってよい.
(8)男女の使用状況の相違については--
イ)栄養剤の使用率は男子全体で80%で,女子より高い割合をしめている.
ロ)栄養剤は継続的にのむ者より,時々のむ者の方が多く,男女共に同じ傾向である.
ハ)栄養剤をのみ始めた動機については,女子は友人や家族の者にすすめられてと答えた者が圧倒的に多い.
ニ)本調査では効きめがあるという声は成人,学生いずれも女子に多く認められている.
ホ)その成分組成についての認識度は,成人男女が学生に比較して高い.
ヘ)今後も栄養剤を続けようと答えた者は男子全体の方が高い結果を示した.
(9)今後もおそらく,保健栄養剤は発展し,浸透していくものと思われる.
以上が調査の結果についての要点であるが,最後に結びとしていえることは,国民の栄養指導にあたっては--
イ)栄養剤の組成成分を正しく理解して,必要な場合に適量を使用すること.
ロ)過信による大量使用に注意すること.尿に排出されて不経済であるばかりでなく,VB1の過剰摂取はVB2を共に排出する結果,VB2の欠乏症をおこす場合がある.特にVA,VDは過剰症も考えられる.
ハ)望ましいことは,医師または保健所にて一応相談のうえ使用すること.
ニ)さらに望ましいことは,日常の食生活において成分のバランスを保って摂取することなどである.
ご助言をいただいた国立栄養研究所長・大礒敏雄博士に感謝の意を表します.
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