Japanese
English
論説
各種抗癌剤の使用経験—とくに使用法についての考察
Clinical studies on the administration of various carcinostatica
早坂 滉
1
,
小西 健三
1
,
高橋 壯之祐
1
Hiroshi HAYASAKA
1
1札幌医大高山外科教室
pp.779-785
発行日 1966年6月20日
Published Date 1966/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203997
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
現在種々の抗癌剤が使用されているが,これらが動物移植腫瘍の治療では卓効を呈するということについては,すでに疑う余地はない.しかし実際臨床的には,根治的効果はもとより,延命効果すら確実に期待できるものはないといつた状態である.これは癌の化学療法が非常に困難であるという幾多の問題があるからである.
まず第1に,癌細胞と正常細胞相互間の親近性に問題がある.癌細胞は,体外から侵入した一般の細菌性病原体と異り,体細胞から発生した変異体(mutant)1)である以上,その代謝物質ならびに酵素系の生化学的機転において,正常細胞とのあいだに特異的な,また,本質的な差異がないことである.抗癌剤には,細胞毒性物質(アルキル化剤),代謝阻止物質,あるいは抗腫瘍性抗生物質等あるが,そのいずれも癌細胞を破壊すると同時に多かれ少なかれ正常細胞とくに造血臓器の破壊作用があり,これは抗癌剤使用にあたつての副作用として,避る事のできないものになつている.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.