Modern Therapy 周産期薬物療法の問題点
麻酔剤使用の問題点
品川 信良
1
Shinryo Shinagawa
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
pp.923-926
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206357
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Ⅰ.産婦に麻酔(剤)は果たして必要か
そもそも,このこと自体が大きな問題である。これには昔から,賛否両論が相なかばしている。「産痛はエデンの園においてイヴが犯した罪に対する報(むく)いである」という宗教的な不用論から,「お産が痛いというのは数世紀来の資本主義社会ないしは旧社会における言い伝えにすぎない」という,いわばイデオロギー的な不用論。さらには「分娩をもっと人間的な自然の姿にとりもどそうではないか」という「分娩の人間化運動ないしは人間性回復運動(Humanization and/or re-humanization of labor and delivery)」などに至るまで,産婦に対する鎮静剤や麻酔剤の使用を,「不要」または「有害」とする意見は,今も昔もあとをたたない。
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