特集 保健・医療と公的責任
第9回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題討議のための論文
2 心身障害者と医療
小池 清廉
1
1重症心身障害児施設びわこ学園
pp.448-454
発行日 1968年11月15日
Published Date 1968/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203768
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はじめに
いわゆる重症心身障害児をはじめとして,精神薄弱や精神病の医療活動に従事している者として,心身障害者に対する医療の問題を若干提起したい。障害者に対する医療は,従来の臨床医学の方法では成立しがたい面があるが,同時にまた,医療従事者が働きにくい悪条件のもとにもある。しかし,数は少ないながらも,障害者の問題にとりくんでいる医師が現われてきている。これまで,精神病の治療と肢体不自由児療育の分野をのぞけば,障害者について,医療の問題として医療の立場から本格的に対処しようとした試みはなかったといってもよい。
社会医学研究会がすすんでこの問題をとりあげようとしていることは,混乱と誤謬と無策のなかにある心身障害者の問題を,正しく解決していくために必要な,基本的な道すじをあきらかにしていくことでもあり,この会の今後の成果が大いに期待されるところである。
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