人とことば
第一回日本聯合医学会開会之辞
田口 和美
1
1東京帝国大学医科大学
pp.429
発行日 1967年8月15日
Published Date 1967/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203503
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今や本邦の医学は世界万国の医学と対峙して敢て遜色なきの程度に達せり。其淵源に遡れば遠く百余年の前に所謂蘭学の興りしものありと雖も直接の系統を尋ぬれば明治4年(1871)8月普国陸軍軍医鐸徳繆爾列児同海軍軍医鐸徳忽布満の二氏我政府の聘に応じて来朝せられし時を以て実験的医学輸入の初めとなすも可なり。
此の歳10月繆爾列児氏は大学東校の教頭となり大に学則を改革し全然旧来の面目を一洗したり。爾来30年有為篤学の諸氏出でて幾多の艱難を排し偲々切々この短日月の間に能く今日の現状に達するを得たるは誠に盛なりと云うべく……,この趨勢を以て進みて止まざる時は邦本医学の泰西諸邦を凌駕し宇宙に冠たるは期して待つ国し。斯の如き医学の進歩に随伴して来れるものは即ち万べ医学会を開設するの時機ならん。これ不肖和美の同学諸君と相謀りここ日本連合医学会を創設し以て学術進歩の権衡を図らんとする所以なり……。
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