研究報告
—カズノコの漬物の中に発見された—Anisakis様幼虫近縁の幼虫
辻 義人
1
,
木根淵 英雄
1
,
石川 秀子
1
,
金田 光男
1
1福島医大公衆衛生学教室
pp.416-417
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203497
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Anisakisというのは,海産哺乳動物(クジラ,イルカ,アザラシなど)の胃壁に寄生する蛔虫類の一種であり,人の蛔虫と異なり幼虫期に中間宿主を必要とすることが特徴とされている。このLife Cycleは,上述の海獣から糞便とともに排出された虫卵が動物性プランクトン(第1中間宿主?)に侵入してある程度発育し,これを海産魚類(第2中間宿主)が経口的に摂取し,魚体内でさらに発育し,これを海獣が捕食し,胃に至って成虫になるものと推定されている。
このAnisakis様幼虫を包蔵する海産魚類はさしみ,酢のものなどの方法によって人の消化管内に移行するものと考えられる。人の消化管内に移行したAnisakis様幼虫に起因する好酸性肉芽腫の臨床病理については,すでに吉村1)その他によって報告されているが,われわれは海産物を用いた食品にAnisakis様幼虫に近縁のものを発見したので報告する。
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