特集 救急
活動
各地の救急対策の現状と問題点
京都の場合
赤十字病院の経済的・人的援助を背景に
宇山 理雄
1
1京都第二赤十字病院救急分院
pp.198-203
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203437
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京都第二赤十字病院の救急医療に関する歴史は古く,すでに昭和26年に病院内部に特別に救急病棟(約30床)を設けて,救急患者の収容に当った。当時は市街を走る車両数も少なく,交通事故も今日のように重要な社会問題として取りあげられていない時代であったが,災害救護を第一の使命とする赤十字病院の立場から他病院にさきがけて設けられたものであった。当時は救急車で運ばれる患者はどこの病院もあまり歓迎しなかったので,京都市内の救急事故の約6割が集まるありさまで,救急患者を収容しきれない状態となったので,昭和31年2月に現在地に古い外科病院を買受け内部改造を行なって,京都第二赤十字病院救急分院として発足した。この病院は救急処置を要する患者,たとえば交通事故およびその他の災害による負傷者,内科的あるいは外科的重症患者で救急蘇生術あるいは救急手術を必要とする患者などの特殊な患者のみを収容する救急専門病院であって,一般外来患者はまったく診療しない方針で出発した。したがってこのような特殊な病院は日本赤十字社内にはもちろんのこと,広くわが国においてもはじめての試みであり,その運営はきわめて困難を伴うものと予想された。しかし京都第二赤十字病院という母体を背景とした強力な経済的ならびに人的援助と,今日までに培われた古い歴史的な基礎がものをいって順調に発展した。
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