研究
発育遅滞地域学徒の体位研究—第2次性徴を中心として
川畑 愛義
1
,
大山 良徳
1
,
大原 純吉
2
1京都大学教養部保健体育学教室
2京都産業大学保健体育学教室
pp.706-711
発行日 1965年12月15日
Published Date 1965/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203164
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I.研究の目的
青少年の心身の発育発達・性成熟現象の早期化,アクセレレイション(acceleration,Akzeleration,Wachstum schub,Wachstumbeschleunigung)はわが国では戦後とくに目だつ現象とされているが,外国ではすでに世紀的なもの(säkulares Akzeleration)として注目されてきた1)〜4)。欧米においても第2次世界大戦後の発育促進現象は著明に現われており,戦前のそれより増大する傾向もみられるが,わが国の戦前戦後の発達率の差には一層大きいものが認められる(発育の絶対量においては必ずしもそうではない)15)〜17)。
わが国の学徒の発育発達と外国のそれとを比較するとき,相当異なった特性を表わしている。たとえば同じく敗戦の憂き目をみたドイツの学徒ではむしろ幼少年の体位の向上が遅れたのに2)〜4),わが国ではやや年長の13〜16才くらいの体位の向上が著しく遅滞した。同じようにドイツでは体位の回復には地域隔差がそれほど目立たないのに,わが国の場合,今日なおこれが相当に開いている。今回は全国的な発育促進の大勢のなかでもっとも成長促進現象の遅れている鹿児島県下のH中学校生徒の体位と,第2次性徴の発現の様相について調査し,地域格差の問題を究明しようとした。
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