特集 綜合保健活動と保健従事者
主題参加
綜合保健活動と保健従事者のありかた
専門的な環境衛生技術者の養成が急務
緒方 一喜
1
1日本環境衛生センター
pp.480-481
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203097
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環境衛生従事者のわが国の現状
つい先頃の厚生省の調査によると,全国の環境衛生関係職員の数は約6,900名にのぼる。その内訳をみると獣医師が約40.7%,薬剤師が約16.0%で,両者合わせて約56.7%を占めている。外国のことはあまり知らないが,環境衛生行政従事者の大半を獣医,薬剤師が占めているということは,他に例のない日本の特殊事情であろう。ある外人がこの実状を聞いて驚き,その不可思議さをついに理解できなかったということがある。われわれは馴れっこになっているので,日常別に気になっていないがあらたまって考えてみると,やはりそのいびつな姿には釈然としないものがある。歴史的経過や現状からみれば,それは最も妥当な自然な姿であるかもしれないが,望ましい形態であるとは誰も考えていないであろう。それぞれ,獣医・薬学の領域で働くのが本筋のはずである。それが,ほとんど関係のないといったらいい過ぎかもしれないが,あまり関係のない環境衛生の領域で働くというのは,せっかくの学校教育が無駄になるということもあるが,環境衛生発展のための健全な姿ではない。
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