文献紹介
癌に関連する環境要因,他
有賀 徹
1
1日大公衆衛生
pp.465
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202870
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本論文は環境要因の分析が癌研究の手がかりとしていかに重要であるかを述べている。
今日癌研究において疫学的研究はその基礎的知識を得るため極めて有効な方法であるが,疫学的研究を誤認したり濫用したのではかえって反対の結論に導くものである。したがって過去から今日に至る疫学研究の過程から考えると,誤りであったと考えられていた知見も今日では癌研究の疫学的アプローチとしては重要であるかもしれないと最初に述べている。そしてこのような疫学的研究における誤謬を防ぐためつぎに示す,Wynderの4つの基礎的条件を引用して注意を喚起している。すなわちWynderは癌の環境要因を認める条件として,(1)Relative riskは,その環境の曝露に応じて上昇しなければならない。(2)ある集団における発生率が病因(Agent)の分布と一致しなければならない。(3)集団におけるAgentの減少と限定に伴ない癌の罹患率が減少しなければならない。(4)Agentはある動物に対して発癌性物質としての作用をもたなければならない。
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