談話室
公衆衛生から見た新しい医師像
柳沢 利喜雄
1
1千葉大学公衆衛生学
pp.410-411
発行日 1964年8月15日
Published Date 1964/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202852
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「医は仁術である」という言葉は東洋では古くから人口に膾炙している言葉である。この場合,注意したいことは「医は技術である」とはいわれていないことである。なぜ医は技術ではなくして仁術なのであろう。
医学という学問は疾病の治療を目的に発達したものであり,さらに疾病の予防へと発展し,将来は健康の積極的増進の学となってゆくことであろう。医学は応用科学であり,はっきりした実用的目的をもっている。だがその底には一貫した医という行為を直接目標としたイデヤが厳存している。その医のイデヤが行為として表現されたとき,それを仁術と呼ぶのである。
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