ジュネーブからのメッセージ
新しい公衆衛生の基礎体力
中谷 比呂樹
1
1WHO事務局
pp.354
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102744
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公衆衛生に携わる方々は,広い公衆衛生の基盤の上に,感染症対策,あるいは,生活習慣病対策など,ご担当の『対策』をそれぞれなされていると思うが,その基盤というのは,万世普遍のものであろうか.
筆者が受けた公衆衛生の授業で強調されたことは,疫学に基づく合理・科学的な対策の立案・実施・評価で,今もその価値は揺るぎないものがあると信ずる.しかし,その枠組みが必要かつ十分であるかどうかについては疑念が出てきている.例えば,治療医学と予防医学が統合したものが新しい公衆衛生であるとすれば(筆者はそう考えているが),疫学以外の基盤もまた必要であり,その獲得が,これからの公衆衛生専門家の基礎体力となるのではないかと考えるからである.その基盤とは何か,いくつかを順不同で述べよう.筆者個人の生涯自主学習の目標の披歴とお考えの上,ご批判を頂きたい.
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