特集 衛生害虫駆除
蚊とハエのいない生活運動の評価と今後の方向
効果判定の標準化
藤戸 貞男
1
1大阪府衛生部虫疫課
pp.371-375
発行日 1964年7月15日
Published Date 1964/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202843
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はじめに
伝染病発生時並びに平常時を問わず,地域社会における昆虫駆除は,市町村の責任のもとに市町村の設置する術生班の活動並びに地域住民の実践活動との連けいにより実施されているが,昆虫駆除はいわゆる発生源対策,即ち公的あるいは私的な環境施設の整備改善と並行して,殺虫剤の効果的な使用が行なわれている現状である。ここで昆虫駆除は一定の年間計画のもとに実施されており実施に際しては保健所,市町村.地域組織などが各々その分野があり,従って効果はあくまでこれらの総合力としてあらわれてくるところに問題がある。そして駆除しようとするものが細菌ではなく,地域住民自らが各々の眼で見て,その効果を主観的にもある程度確認でき,これが与論調査として従来からとりあげられ衛生教育の場としても盛んにとりあげられ来たっている。ところで与論調査結果は直接に昆虫駆除実施計画並びに実験計画の検討に結びつく結果となり,主観的な効果判定をもってすると,やがて昆虫駆除が何ら的を射ない浪費であるという意見もでてくる所以である。昆虫駆除はあくまでも地域住民に対する普辺性と科学性とを兼ねそなえたものであるから,主観的にではなく客観的に効果の判定を実際に地域住民に対しても示しながら昆虫駆除事業の進展をはかりたいものである。
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