特集 衛生害虫駆除
蚊とハエのいない生活運動の評価と今後の方向
技術体系の確立を
鈴木 猛
1,2
1日本環境衛生協会第2事業部
2東京大学大学院
pp.367-368
発行日 1964年7月15日
Published Date 1964/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202841
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「蚊とハエのいない生活運動」が,戦後のわが国の地区衛生組織の中心的テーマとして,大きな役割を果してきたことは,いまさらここに述べるまでもない。衛生行政の補助としての立場,ないしは行政の基盤としての国民運動という立場で地区衛生組織の活動を考えた場合に,蚊とハエのいない生活運動は,問題が日常的また具体的でありやればやっただけの効果があり,その効果が目に見えてあらわれるといったような,それ自身の持つ性格の故に,まさしく恰好のテーマであった。
しかしこれは「地区組織活動の発展から見た蚊とハエのいない生活運動の評価」である。立場をかえて,「衛生害虫駆除の立場からみた蚊とハエのいない生活運動の評価となると,話はおのずから変ってくる。すなわち,地区組織活動を発展させるための手段としては,蚊とハエのいない生活運動は大きな役割を果した。しかしその運動の本来の目的である害虫をなくすためには,この運動は,必ずしも理想的な成果をあげたとはいえないであろう。この両者の立場は,従来しばしば混同して論じられていた。
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