特集 保健所活動
保健所はどうすれば地区のニードにこたえられるか—保健所運営研究協議会中間報告案の内容を中心として
児崎 宣夫
1
1厚生省公衆衛生局保健所課
pp.28-32
発行日 1964年1月15日
Published Date 1964/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202774
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I.はじめに
保健所が公衆衛生行政の第一線の担い手として活動しているわが国において,保健所活動が地区のニードにこたえ得るためには,まず第1に,公衆衛生行政の各種施策が今日の社会的要請にこたえられ得るものであることが前提である。しかしながら,近年における急性伝染病の減少・死亡率の低下とくに結核死亡率の激減・平均余命の延長など保健衛生の改善,国民世論の動向の変化,経済的・社会的諸条件の変遷などまことに日覚ましく,これがために公衆衛生に関しても多くの新らしい問題が提起されつつあり,公衆衛生行政の各種施策について再検討の必要が強調されている。従って,公衆衛生の万般にわたって真に社会のニードに即応する行政施策が行なわれることが必要であり,このためには,問題解決のための科学と技術が早急に確立されなければならない。公衆衛生に関する大学・研究機関などの関係者のこの面への研究努力を必要とすると同時に,研究機関の整備と研究推進体制の強化が必要である。
第2に,すでに行政施策としてとりあげられている各種事業が,人・予算・組織・制度など全体にわたって十分に整備されていることが前提である。しかしながら,当事者および関係者らの懸命の努力にもかかわらず,諸般の事情によって,それらの事業の或るものは真に地についた事業展開が困難であったり,また或るものは未だ日浅くして十分にその事業活動が展開されていないものがある。
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