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保健所運営報告の改正について
橋本 道夫
1
1厚生省公衆衛生局保健所課
pp.12-16
発行日 1959年4月10日
Published Date 1959/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201839
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はじめに
ここ数年来保健所のあり方についていろいろの論議がかわされて来ました.公衆衛生に従事している人々の意見として,誰もが充実強化という点では一致しているのですが,1昨年の行政管理庁の監察報告にもあるように,その運営の方法について,設置基準や人員配置や各種事業の項目及びその進め方について,再検討の要があることは誰しも認める所でした.又昭和36年を目指しての国民皆保険を基礎にした医療保障制度が進むにつれて,保健所のあり方も又,このような体制のもとで早急に正しい位置づけを確立しなくてはならない状況におかれて来ました.現在の保健所は確かに業務の増加と人員充足の不均衡に悩んでいます.しかもその業務は極めて複雑多岐にわたり,その綜合的な業務運営の管理体制は,早急に改善強化の要があることは明白です.しかしとのような転換の時期において,衛生行政の最大の基礎となつている保健所の検討は,単に卓越した論説のみで片付くものではありません.保健所のもつている能力や,業務配分,地方の実情等をよく加味した合理的な指針を着実に打ち立ててゆかなくては極めて危険です.このような指針を我々にあたえてくれる最も大切な武器は業務統計です.保健所運営指針の改訂も叫ばれながら,行われないのは,やはりその前提としてのレールが敷かれなくてはどうしても不可能なのです.今回の改正はこのような要求に応ずる第一段階の業務の軌道を敷くという意味をもつたものです.
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