原著
三重県下における伝染性単核症を疑わせる熱性疾患の一流行例
松井 清夫
1
,
坂本 弘
1
,
坂口 力
1
1三重県立大学衛生学教室
pp.386-389
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202691
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Infections mononucleosisは1920年,SpruntおよびEvansにより,また,Drüsenfieberは1889年,Emil Pfeifferにより命名され,同一疾患であり,わが国においては,伝染性単核症として九州四国地方に多く,鏡熱,日向熱,土佐熱などといわれ,その地方の地方病的名称が付されてきた。
本症の病原体については,種々の検索がなされ,操らのickettsia Sennetsu Misao et Kobayashiの発見2)をみるにいたった。また,同Rickettsiaをもちいての症候学的検討をはじめ,治療に関する知見も数多くあげられてきている。一方,本疾患と思われる流行例が,本州においても兵庫県3),広島県4),などからなされてきた。また,四国の徳島県5),九州の宮崎県7)においても流行例が検討されてきたが,本症特有の三微候を呈しながら,必ずしもRickettsiaの検出に成功しているわけではない。また,欧米におけるInfections Mononucleosis(Drüsenfieber)と同一疾患なりやいなやの論議も見解の一致をみていない7)。われわれは,三重県下における某山村において,本症を疑わせる58名におよぶ流行例を経験した。われわれは病原学的検査をおこなわなかったが,同県下における本疾患を疑わせる流行例の報告が未だないため,あえてここにその概要を報告する。
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