特集 統合医療への期待―21世紀の予防医学と健康づくり
わが国における伝統医学と医療の歴史
瀧澤 利行
1
1茨城大学教育学部
pp.99-102
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101248
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日本の伝統医学の概念
保健や医療に関わる生活技術は,人類が手にした技術の中でも最も古いものの1つである.医療人類学の知見によると,保健や医療についての人間的営為は人類の社会形成とともに派生し,同時に,その社会形成の重要な因子としても機能してきたと言える.医療人類学者のヒューズ(Hughes, C.C.)は,未開社会から現代社会に共通する健康の一般的原則として,次の4点を指摘している1).
①いかなる社会でも公衆衛生に関する信条が見られるが,それには呪術的要素と経験科学的要素の双方が含まれる.
②いかなる社会でも公衆衛生の状態は,その集団の生活様式と相互に関係している.
③人間の健康は集団それ自体と連続性があり,社会そのもののあり方と深く関連している.そして,そこに属する人間は,その社会が疾病やそれに伴う脅威から自らを守ってくれるとみなしている.
④人間の健康は生活状況全体を反映する関数である.
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