助産婦事典
わが国における乳母車の歴史的考察
加藤 翠
1
1日本女子大学児童学科
pp.46-53
発行日 1976年1月25日
Published Date 1976/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204979
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
近年わが国では乳母車についての関心がとみに高まってきて,昭和48年に消費生活用製品安全法が施行され,製品安全協会が設立されて,SGマークの最初の対象に取り上げられたのも乳母車であった。昭和49年5月15日には,デパートのベビーカー備えつけ廃止を指示した東京消防庁に,ウーマンリブ運動の女性たちが,通達の撤回をせまって押しかけるということが起きて,世間の話題となったのである。昭和50年8月13日,"奥さんごいっしょに"の番組で,ベビーカーの問題を取り上げたNHKには,番組が終わるか終わらないうちから電話が殺到し,主として今日のわが国の都会で,ベビーカーが一般通行人にどんなに迷惑をかけているかを訴えたものだったと聞く。
筆者の研究室では昭和49年に,東京および鳥取において200人の乳幼児の母親にアンケートをとったところ,88.5%が1〜3台の乳母車を使っているという,高い普及率を得たのである。
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.