特集 ポリオの疫学(その2)
原著
埼玉県下の一農村における生経ロポリオウイルスワクチン投与後のポリオウイルス分離成績
中野 英一
1
1公衆衛生院
pp.145-148
発行日 1962年3月15日
Published Date 1962/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202503
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わが国のポリオの発生は,近年増加の傾向をたどり,1959年には2,917名にまで増加し,1960年には北海道夕張市における集団発生を含めて,年間5,606名という未曽有の大流行をみるに至った。
このため,全国的にポリナの予防対策に大きな関心が払われ,1961年7月より8月にかけて行政措置として,全国一斉に生経口ポリオウイルスワクチン(以下生ワク)の投与が実施されたことは周知の事実である.しかしながら,この行政措置による生ワクの一斉投与は,極めて緊急に,しかも広範囲に実施されたため,投与の前後における全国的なポリナウイルスの分布状況,あるいはポリオ中和抗体の保有率など,今後わが国におけるポリオ対策に必要な基礎的資料が整備されないままに実施されたことは,極めて遺憾なことであった。
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