研究
旭川市におけるポリオの流行と防疫対策
野崎 俊夫
1
,
小野寺 千代子
1
1北海道旭川保健所
pp.167-178
発行日 1961年3月15日
Published Date 1961/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202387
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緒言
欧米では早くからポリオの流行が頻発したためにその疫学的研究も進んでいるが,わが国では近年まで認むる程の流行が少く,従つて本病に対する関心は専ら臨床医学の面に限られていたといつてよい。しかるに終戦後より各地に本病の流行が続発し始めたために疫学的関心もにわかに増大した。われわれはポリオの疫学的研究を行うに当り,集団の感受性が流行の重要な因子となる事実を考慮し,今年(昭和35年)初頭から旭川市の乳幼児のポリオに対する感受性調査を進めて来たが,その途上今回の大流行に遭遇し,市内のみで100名をこえ,周辺町村を加えると160名に達する麻痺患者が発生し,北海道で最大の流行地となつた。この流行に際しわれわれは管轄保健所の防疫担当責任者として対策に従事すると共に,各方面の協力を得てその疫学調査を行なつた。集められた資料がぼう大なために,まだその全部を分析するに至つていないが,現在までに得た成績にもとづいて流行発生の要因,流行状況,実施した防疫対策とその効果について報告し,今後の参考に供したい。
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