原著
1955年都道府県別人口の再生産率と自然増加率—最近日本の人口学上の一問題
水島 治夫
1
1元九大
pp.494-497
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202314
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I
1955年の都道府県別及び全日本の人口の自然増加率は第1表のようである。(但し,ここには,出生・死亡・人口とも,日本人の女だけである。)
第1表を見ると,人口の自然増加率(per 1000)は,最低は京都の7.5,最高は鹿児島の16.0で,いずれも黒字(+)であり,全日本では11.7である。即ち1955年に,各地方とも,表に示したような自然増加率があつたことは事実である。しかし,ここに考えねばならぬことは,ある年度の出生率にしても,死亡率にしても,その年度の人口の年齢構成と密接不可分の関係にあり,その当時の年齢構成があつてこそ,それらの動態率が示されたということである。人口の年齢構成が違うと,各年齢別の出生率・死亡率は不変であつても,全体としての率は違つて来る。ところが,ある年度の人口の年齢構成は,過去百余年間の出生と死亡と移動のからみ合つた所産であるから,その過去の動態の影響が,該年度の動態にも及んでいる。
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