綜説
医療の社会化と医師
関悌 四郎
1
1大阪大学医学部公衆衛生学部
pp.478-484
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202310
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わが国に於ける医療の問題つまり健康保険,医療保障,医療制度などの問題は,主として厚生省と日本医師会の間で長年にわたつて交渉が続けられておりますが,その成り行きは多くの第三者的な立場の批評によりますと,問題によつて多少のニュアンスの違いはありますが,医師会の方がかなりしばしば強引な掛引きをもつて事にのぞんでいると看做される場合が多いようであります。
このような見方は,それぞれ多少の根拠があつてのことでありましようが,それはそれとして,ここで私の考えを申し述べますならば,その不評の根拠とされるところは,多くの場合,医師会側のタクチックに対するものであつて,そのようなタクチックをとらざるを得なかつた理由は充分に考慮されているとは考えないのです。
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