綜説
イタリアの公衆衛生—特に学校保健について
菊野 正隆
1
1北海道大学教育学部
pp.468-477
発行日 1960年9月15日
Published Date 1960/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202309
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編集の方からイタリアの公衆衛生について書くように依頼されたが,私は教育学部に席を置いておる関係上イタリアでは主として学校関係を見てきたので,ここでは公衆衛生の一部分--というより公衆衛生の中で最も重要な部分と私は考えているが--である学校保健について述べようと思う。唯私の手元にイタリア保健省の本年度の予算の資料があるので,それの概略を本文の末尾に掲げることによつて,イタリアでは公衆衛生のどの方面に重点を置いているかということの参考資料に役立てば幸と思う。
学校保健は保健管理と保健教育との2つの面をもつていることは既に御存知の通りであるが,イタリアでは保健管理の面は保健省→保健所の線ではつきり組織化,系統化されており,保健教育は文部省→教員養成機関の線に乗つている。そしてこの両者の間をうまく結びつけるものとして養護教諭(Assistente Sanitaria Visitatrice直訳すれば保健訪問婦助手)がいる。
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