「医学生に対する衛生学公衆衛生学の教育」についてのアンケート
東田教授の「社会保障」を読んで
山本 幹夫
1
1順天堂大学体育学部公衆衛生学教室
pp.385
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202293
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医学教育において,社会保障に関する問題を十分に教育すべきだとする御趣旨には賛成である。ただ,「医療問題や医療制度」が「社会保障」の範囲で教育されることには疑義がある。医療は教授も指摘されるように,医師たるものの本来の仕事であるから,これについては,別個に今後もつと十分に教育しておく必要がある。これが「社会保障」のわく内で論じられたり,「社会保障との関連に於て」論じられるのは不十分だとするのである。医療に関する問題は,衛生学,公衆衛生学の範囲では,公衆衛生総論に於て取扱われるのが適当だと思われる。
保健婦活動などをもふくめた,保健活動が,医術の進歩に伴う,必然的な機能分化だとする考えにも異議があるが,詳細は述べない。保健活動は,公衆衛生学の本命だとも考えられるので,別途に教育する必要はないだろうか。特に各種集団や国民全体に対する保健活動における医師の立場については,この「保健活動」或いは「健康管理」において十分に教えておくべきである。保健活動の沿革や発展,その範囲や内容,医療や社会保障との関連,保健活動のすすめ方や効果などについても教えることが望まれる。
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