原著
生命表より見た小倉市民の健康(昭和30年)
坂田 守
1
1小倉市保健所
pp.386-392
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202294
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.緒言
或る地域の住民の健康度を知ることは,公衆衛生上,殊に衛生行政の重点的活動の立場から重要なことである。近年生命表の研究がさかんに行なわれて,それが健康度判定の指標として利用されている。最近の死亡率の低下は著しく,それと共に全国生命表も改善されつつある。おそらく地方都市の生命表も改善されつつあるであろう。小倉市の場合,従来生命表が作製されておらず,綜合的な面から見た小倉市民の健康度判定の資料に不足している。今回昭和30年の諸資料をもとに,簡略生命表を作製し,市民の健康度を推察すると共に,全国及び他都市との比較を試みた。
けだし,一都市でも,全市域が等質でなく,市域によつて人口,住宅密度を異にし,地形,地勢を異にし,人口の年齢構成,主職業が異るものである。この様に,社会学的,医学的,経済学的,自然科学的,その他,種々の要素が異る市域を包含する小倉市全市を,或る地区別(例えば農業地区.住宅地区,商工地区等)に区分することをせず,比較的大きい行政区画を単位とする生命表で,その健康度を推察することは,必ずしも適当ではないが,市域を分割する資料のない現在,大局からみた健康度を推察し,他と比較することは差支えないと考える。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.