原著
琉球宮古島における寄生線虫類の調査
田中 寛
1
,
熊田 信夫
2
,
福嶺 紀仁
3
,
川満 彦一
4
,
徳嶺 久光
4
,
伊集 朝成
4
1東京医科菌科大学医学部,公衆衛生学教室
2東京医科菌科大学医学部,医動物学教室
3東京医科菌科大学医学部,農村厚生医学研究施設
4琉球宮古保健所
pp.523-527
発行日 1959年8月15日
Published Date 1959/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202178
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I.はしがき
寄生虫疾患は農村の各地で重要な問題であるが,特に温暖な九州以南の諸島では他の地区と比較にならぬ程広く浸淫し,住民の健康に大きな影響を与えている。奄美大島に於ける田中,佐藤ら福島,佐々らの調査,沖繩本島南部に於ける佐藤ら,佐々らの調査によつて,これらの地域は鈎虫や糸状虫フイラリアが著るしく高度に浸淫していることが知られただけでなく,他の地区では殆どみられない糞線虫が多数の者に寄生していることが知られている。
本報は沖繩本島の南西の離島宮古島に於ける糞便よりの寄生線虫類の検査成績と糸状虫の調査成績であるが,特に鈎虫,糞線虫に対し検出能率のよい試験管濾紙培養法を併用して精密に検査を行つた。又糸状虫に対しては夜間採血によりミクロフイラリアの保有状況を調査した。本研究では調査結果より地域差,年令分布を検討したが,実際に本地区の駆虫対策,予防対策を行うに当り.幾多の指標を提供する資料を得た。特に鈎虫,糸状虫の高度の浸淫に対しては他地域で行われている普通の対策以外に強力な別途の方法の必要性を感ずる。
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