綜説
チエツコスロバキヤの医療制度と社会保障
鈴木 継美
1
1東京大学医学部公衆衛生学教室
pp.302-307
発行日 1959年5月15日
Published Date 1959/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202137
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チエツコスロバキヤがナチスドイツの占領から解放され,いわゆる人民民主主義共和国として発足したのは1945年である。東欧諸国の中でもつとも工業(特に軽工業)の発達しており,第2次大戦前にブルジヨア民主主義共和制をしいていたこの国の変貌が始つた訳である。
ナチスドイツによる6年間の占領によつてチエツコスロバキヤの経済,国民生活,保健などの全分野にわたる荒廃が残された。重工業,軽工業(たとえば鉄鋼生産高は1937年度に銑鉄167万5千トン,鋼鉄230万トンであつたものが1946年度には銑鉄96万1千トン,鋼鉄167万7千トンに減少)だけでなく,農業の生産力の低下,住居の破壊,医療従業員の減少など健康を確保するために必要な各種の要素がそろつて不足していた。大学の閉鎖のために6年問新しい医師は1人も生まれなかつた。
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