特集 保健所管理
衛生行政における管理と能率—保健所活動を中心として
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院衛生行政学部
pp.12-15
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202067
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はじめに
衛生行政とは「公衆衛生の本来の目的を達成するために,公の責任において,その条件を整える働き」であり,さらに「与えられた条件の下において,公衆衛生活動の質の向上を図る働き」である。ここに条件というのは,第一に人,第二に予算,第三に法律,第四に組織の問題であるといえる。ところで,わが国の衛生行政の現状をみると人を確保すること,予算を獲得すること,法律を作ること,機構を整えることにはきわめて熱心であるが,これらの人なり,予算なり,法律なり,機構なりを公衆衛生の質の向上のために,最も効果的に管理運営してゆくということについてはきわめて不熱心であり,ときには無関心でさえあるのが通弊であるといえる。
もちろん,このことは決して衛生行政に限つたことではなく,わが国の行政全般について当てはまることであるが,これは明治の初頭以来終戦に至るまで80年の長きに亘る中央集権的,官僚主義的な行政がもたらした重大な弊害のひとつであると考えられるのである。このような点を頭におき乍ら,以下に衛生行政における管理と能率の問題を,保健所活動を中心として考えてみよう。
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