海外だより
検査と能率
小酒井 望
pp.173-174
発行日 1960年3月15日
Published Date 1960/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905679
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日本にいるとき,アメリカの臨床検査室では技術員の1人当りの検査件数が,日本のと比べてとても多いと聞いて,便利な機械,器具がたつぷりあつて,検査室の構造もきつと便利なんだろうと想像していました。まだこちらへ来て日が浅く,見たのも当ジヨンスポプキンス病院とその隣りにあるサイナイ病院だけですから,本当のところはまだわかりませんが,こちらの検査室が能率的であることの一端がわかりかけて来ました。ジヨンスポプキンス病院は大学病院であるので,検査室や作業人員もかなりゆつたりしているらしいのですが,私が作業量や日常検査の術式をくわしくしらべているのはジヨンスポプキンス病院ですから,この病院のことを述べましよう。検査室の作業員にはいくつかの職種があつて,作業内容がはつきり分れています。細菌検査室で云えば,滅菌,洗物をする人は勿論きまつていますが,粉末培地をはかつてとかし,滅菌する人,毎日最も多く使用する血液寒天平板,デスオキシコール酸培地,チヨコレート平板などを平板に流すのが専門の娘さんがいます。技術員各人の作業机の横にからのバケツがあつて,使用ずみの試験管,シャーレはどんどんそこへ入れると洗い物の小母さんがしよつちゆう集めに来てから新しいのと交換して行きます。従つて技術員は検査だけをしておればよいわけで,日本のように雑用はありません。勿論床の掃除は別な人がします。
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