原著
九州,北海道等の炭鉱從業員寄生虫相の比較研究(第5報)—職種別などによる主要寄生虫保有率の差異について
佐々 学
1
,
林 滋生
1
,
田中 寛
1
,
白坂 龍曠
1
,
三浦 昭子
1
,
佐藤 孝慈
1
,
若杉 幹太郎
1
,
高田 敦徳
1
,
福井 正信
1
1東京大学伝染病研究所寄生虫研究部
pp.562-566
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202038
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我々は三菱鉱業健康保険組合員の約3万人について,1956年10月より約4カ月の間に塗抹法,浮游法,試験管培養法の3法を各材料について併用し寄生虫集団検診を行つた。その成績については,第1報に主として検査技術を,第2報に九州,北海道などの各地方別の寄生虫保有状況の差異を,第3法にピペラヂン剤及びブロム・ナフトール剤を用いた集団駆虫成績を,第4報には糞線虫保有者の問題をすでに論述した。ここには各炭鉱の職種別などの差異にもとづく主要寄生虫の保有状況の相違を集計し検討を加えた結果を述べる。
ここでとりあげた寄生虫の種類はとくに陽性率の高かつた鉤虫,毛様線虫,回虫,鞭虫の4種である。第2報でのべたように,全地区とも鉤虫は培養成績の上からはヅビニ鉤虫が圧倒的に多く,アメリカ鉤虫陽性者数はヅビニ鉤虫陽性者数の約20分の1にすぎなかつたし,浮游法のみで鉤虫卵が陽性で,その種別を明らかにしえなかつた例もあるので,ここには鉤虫としてまとめて論じたが,その主体はヅビニ種であることはいうまでもない。
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