原著
赤痢保菌者の疫学的研究
高木 剛一
1
1東京都芝保健所
pp.61-74
発行日 1957年9月15日
Published Date 1957/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201878
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まえがき
細菌性赤痢は,患者,保菌者の糞便中の赤痢菌が手指の接触を介して,飲食物,食器等より経口的に伝染するものであることは,衆知のことでありながら,赤痢保菌者が赤痢の伝染に対してどのような役割を演じているものかは,現在までに充分明らかになつたとはなお言い難いのである。その原因の一つは,赤痢保菌者の取扱いが余りにも行政的に処置され,従つて,その実態の究明が徹底を欠いた点に求められるようである。
私は,赤痢保菌者が赤痢感染上占める位置を正しく評価するための資料として,赤痢保菌者の生態をアンケート方式により集録し,集団赤痢感染例,家族感染例において保健所活動を少し深くほりさげて実行に移し,更に都伝染病院の協力を求めて,摘発保菌者の実態を研究し,赤痢保菌者ひいては赤痢感染様式についてある程度具体的の成績を得ることができたので,赤痢予防対策の参考に供したいと思う。
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