原著
福井県下の1山間地方における赤痢保菌者調査成績
坪田 功
1
,
佐藤 嘉津馬
2
,
大脇 達雄
2
,
清水 湛
2
1金沢大学医学部公衆衛生学教室
2福井県勝山保健所
pp.393-397
発行日 1960年7月15日
Published Date 1960/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202295
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I.まえがき
抗生物質の発見以来,消化器伝染病中腸チフス患者は減少して来たが,赤痢患者は依然として相当数の発生を見ている。特に最近は軽度のものが多く,季節的にも夏季伝染病たる本来の姿より年中常在型に変化し,さらにまた抗生物質耐性菌の出現等により公衆衛生上新しき問題を提供している。
特に保菌者は感染源として新しい流行に重大な役割をなし,厚生省1)の推定では年間600万が毎年いずれの時期にか保菌者になると発表され,藤田2),阿部3)によれば保菌者は年々増加する傾向にあるという。しかしながら保菌者の調査は法律上,経済上等の理由により爆発的流行地,都会地にてはなされているが,山村における報告は少ない2)。私共は数年来赤痢の多発を見た福井県下の一山村地区,勝山市鹿谷町(旧大野郡鹿谷村)の往民について保菌者の調査,治療を行なつたので,ここに報告する。
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