講座
赤痢の疫学的考察とその看護
横田 万之助
1
,
坂本 たま
1
1駒込病院内科・伝染科
pp.30-36
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910145
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I.疫学上の2,3の問題
赤痢のその古い歴史—たとえばエジプトには西紀前1550年頃に本症に類する疾患の治療法を記した書物があるとか,本症を独立疾患と認めたのはギリシヤのヒポクラーテス(紀元前475-380)であるとか,東洋で「赤痢」という字が始めて現われたのは支那の隋時代(581-618)の医書であるとか,日本では奈良時代の天平9(727)年の記録にこの字が見られるとか—はしばらく措くとして,志賀博士により志賀赤痢菌が(1898年),二木博士により駒込A菌及びB菌が(1903年)夫々発見されてより正に50余年,今日依然として本症が日本における急性染感症の主流をなしているという事実は(第1表,第2表),同じく経口感染症たる腸チフス及びパラチフスの激減と対比すると,大きな問題と云わねばならない。又「赤痢」の問題は常に「疫痢」とも連なる。このような観点からここでは「感染」を中心として,之と繋がる2,3の問題について考察を加えてゆくとする。
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