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赤痢
内田 三千太郞
1
1都立豊島病院
pp.9-14
発行日 1950年8月15日
Published Date 1950/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906685
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1.わが國に於ける赤痢の流行
わが國は有名な赤痢國と言つてよい。それは過去數10年間わが國に於ける赤痢流行の跡をふり返つて見ればよく解る。まず明治時代は明治26年を頂點とした大きな流行の波があり明治26年の赤痢患痢患者は17萬に近くその中約25%が死亡している。そして,大正年間には毎年1-2萬の患者が出ている。昭和に入つてからは年と共に漸増して昭和14年を最高とする(この年の患者數は約10萬に及んでいる)大流行があり,その後一時減少したが昭和20,21年には再び昭和14年とほゞ同数の患者を見るに至つた。然るに昭和22年23年には未だ嘗つて見たことのない赤痢の大減少を來したが昨年は逆にやゝ増加し始め,本年は更に大いに増加し既に昨年の同期に比べて約3倍の患者發生を見た。
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