発行日 1950年3月15日
Published Date 1950/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906617
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相互扶助の精神の美しさはいまさら言葉を改める必要もないと思いますが,奉仕の精神の尊さも他にくらべようのない,己れを忘れた社會意識のつよい精神でしよう。自分をすつかり殺してしまう犧牲ではなくて,自分の投げ出す精一杯の力が,人のためになる,社會の向上のために使われるということで非常に建設的で積極性があり,しかも謙虚な氣持です。
自分,自分と,それの榮達のためには友人を,恩師を,ふみ臺にして省みない人のあることは珍らしくないほど悲しい事實ですが,こういう人こそえてして他人のことをとやかくと言いたい入で,そこに大きな矛盾のあることを御存知ないのです。大體,他人のことなどいちいち干渉することがなぜ必要なのでしよう。お互いは一應成長した人間で,社會人です。自分で自分の身の處し方は承知しているのに他人のことなど全く餘計なことです。特に甚しいのは女性の間の愚にもつかない噂さばなしです。
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