特集 公衆衛生と保健婦
訪問指導と集團指導の比重
宮坂 久子
1
1篠ノ井保健所
pp.36-37
発行日 1957年8月15日
Published Date 1957/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201860
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保健婦はいかに働かねばならないか。どのような活動をすれば時代と公衆の要望に最も添い得るか。ということは常々検討され努力されて来ていることであるが,茲に日常の業務を顧みて訪問指導と集団指導との比重について考えてみたいと思う。
「保健婦本来の業務」ということが最近特に叫ばれているが,保健婦制度が制定されて十五星霜を閲したが,創設当時から今日まで活動方法の主体は,専ら訪問指導におかれていた。一にも二にも訪問指導,これこそが保健婦本来の業務であるとされ,その線に添つて努力されて来た。終戦直後の混沌とした社会状勢下にあり乍らも,訪問指導に多分に重い比重がかけられてあつた。私達自身,訪問に出ない日は業務らしい業務をしなかつたような気持にさえなつたものであつた。しかも結核予防に最重点がおかれた頃であつてみれば,山間僻地の患家訪問によつて一人でも多く理解者を作ることに,無上の喜びをさえ感じて働いて来た。又それだけに反面,集団指導を組織的に行うべく,実施する方も受入れる側も体制が出来ておらなかつた,という状況でもあつた。故に地方の農山村等に勤務する者は,あらゆる地理的,人的,物的悪条件とたたかいながらも訪問指導一筋に生きて来た。当時を顧みて町村勤務保健婦の,多きは40%を上廻り,保健所勤務の者でさえ30乃至35%は実施していた状況であつた。
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