研究報告
流行性肝炎による汚染の疫学的指標
今井 清
1
,
菅沼 達治
1
,
佐野 一郞
2
,
林 康之
2
,
山県 英士
2
,
田中 義人
2
,
村上 義次
3
1東京都衛生局予防部
2国立東京第一病院
3東京都立豊島病院
pp.40-43
発行日 1956年5月15日
Published Date 1956/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201683
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I.はじめに
昭和29年8月下旬から11月上旬にかけて東京都新宿区大久保地区に限局して約240名の流行性肝炎が多発し,その原因として地区内の某豆腐店(以下A店とす)の豆腐が明かにされた。この豆腐店(小売,卸売,行商を含む)を平生利用する世帯は推定約400軒で今回の多発地区の全世帯の略1割に相当するものである。この400軒の内,大久保小学校に通学する児童は約150名で最大限150名の児童が豆腐により汚染される可能性があつたわけである。このような状態の中で流行性肝炎病毒による実際の学童間の汚染は果してどの程度であり又どのような指標で知ることが出来るだろうか。
我々は流行性肝炎病毒に汚染された場合の肝障害の検査として肝触知と尿ウロビリノーゲン検査を取り上げ,大久保小学校児童に就て検査した。その成績は疫学的にみて病毒汚染度の指標として使用し得ると思われるのでここに発表する次第である。
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