特集 生活改善運動の課題
実践報告・生活改善運動とともに歩んで
全村簡易水道敷設について
鎌谷 勇治
pp.62-63
発行日 1955年11月15日
Published Date 1955/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201620
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本村は山間僻地にて村内耕地少なく,為に余儀なく農家の大半は,隣村の赤阪村並びに東条村に耕地を有せる関係上男子はもとより,婦女子も共に農事に励み殊に農繁期などは未明に家を出で夕べに星をいたゞきて,家に帰る始末にて,その労苦察するに余りある状態におかれ,然も井戸水は辛じて,一部落に1カ所中には遠く谷川に求むるなど,1回の水汲も数時間を要し,365日それこそ1日もかくことの出来ない家事作業,就中,炊事に至りては主婦の労苦と,その疲労まことに悲痛なるものを覚ゆ,加うるにその飲料水たるや実に水質惡く,一面家庭には天水を溜め置き,入浴用,又洗濯に使用する関係上,自然清掃が不潔で衛生上,詢に寒心に堪えず,今昭和27年度迄,過去5カ年間の消化器系伝染病の発生状況を見ても1カ年平均1万人当り50人の多数に上つている。かくの如く年々惡疫流行し,村民の不安におのゝき自衛上之に順応せる設備の必要緊切を加え村民の要望と共に茲に簡易水道敷設の計画を樹立した。
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