論述
簡易水道に就て
河口 協介
1
1水道協會
pp.43-49
発行日 1948年5月25日
Published Date 1948/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200296
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1.簡易水道の通念及び目的
簡易水道とは讀んで字の如く『設備が簡單で操作が容易な水道』と解してよいと思はれるが,然らばどの程度の設備を簡單と云ひ,どの程度の操作を容易と云ふか,と云ふ點になると,漠然としてキマリをつけ難いのである。
實は私共は漫然と常識的に簡易水道と呼び馴れては居るが,其の答案は一寸首を捻ねらざるを得ない。單に基本計畫から云ふて,給水人口,給水量が少なく,規模の小さいものを簡易水道と稱して居る様であつて,例へば水道條例による給水人口1萬を超えない,府縣知事委任程度の水道の如きを一般に簡易水道と解して居る向きもある様である。然し其の原水の性質なり,諸施設の位置によつては之れが淨化方法から,送配水の方式等に於て,決して簡易と云ひきれないものがある。他面給水人口なり給水量が大量で,規模が可なり大きくても,原水が其のまゝ飮用に適し,しかも給水區域に近い適當の高所から取水出來て全然自然流下式によつて,配水し得らるゝならば,其の施設操作の點から云へば,簡易水道と呼んで差支ないものがあり得る。伊豆の伊東市や鹿兒島市の水道の如きは,其の1例と謂つてよかろう。であるからあながち人口や量からのみ簡易水道と云ふことも,どうかと思はれるが,茲ではかかる詮議立てはやめにして,地方の小さい町村なり團體に給水の目的で布設せらるる。
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