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牛乳の處理に対する栄養学的考察
新井 養老
1
1東京都衞生研究所
pp.52-65
発行日 1955年5月15日
Published Date 1955/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201564
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まえがき
牛乳の処理,販売その他については,食品衞生法(昭和22年法律第233号)食品衞生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)食品,添加物,器具及び容器包装の規格及び基準(昭和23年厚生省告示第54号)において規制されているが,ここで処理というのは,搾つた牛乳の濾過,殺菌小分,密栓のことに限られている。しかしこの他に運搬,貯蔵などのこともある。従つてわれわれが常識的に処理という言葉の内容とは,多少ずれている点がある。のみならず食品衞生法は,飲食に起因する衞生上の危害の発生を防止し,公衆衞生の向上及び増進に寄与すを目的としている関係上,栄養というような事に直接に関与しているものではないのである。もちろん,この処理の奥底には,栄養を或る程度考慮に入れた長い間の実験や研究の結果をもひそめている。
例えば殺菌の温度について見ても,殺菌と栄養成分の変化との兩面から研究されたノース(North)等のいわゆる安全帯が概ね採択されているのである。
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