特集 赤痢(Ⅰ)
志賀先生を語る
高野 六郞
pp.64
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201436
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志賀先生の東京大学を出たのは明治29年で,すぐ北里博士の伝染病研究所へ入つた。明治30年の春の講習会で細菌学の手ほどきをうけ,さてこれから研究作業にとりかかろうという所に赤痢が流行して来た。よつて北里所長が赤痢病原検索を志賀助手に命じた。
前年Widal反応が報告され,それが腸チフスで診断上価値のあることが明かとなつていた。志賀助手はこの新技術を赤痢の研究に活用した。志賀助手が患者の粘液血便から分離培養した疑わしい細菌と患者血清とを合せて凝集反応を試み,陽性の菌種を択んで病原菌の狙いを確めることができたのは,賢明でもあり,好運でもあつた。
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