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新しい結核藥
川上 保雄
pp.2
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201388
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Streptomycin(SM)がWachsmannにより抗結核性抗生物質として登場して以来,最近数年間に多数の結核症に対する化学療法剤が表れ,結核の治療法を一変した觀のあることは周知のことである。以下主要なる結核化学療法剤を擧げて見る。
抗生物質:SM,及,Dihydro-SM(SMのストレプトーズの-CHOが-CH2OHとなつている。副作用としてSMの方は前庭神經障害Dihydro〜SMの方は蝸牛神經障害,をおこしやすい)。最も早く表れたものであるが,現在でも最も有効な化学療法剤である。此等は当初1日3gという様な多量の連日注射が行われ,副作用も従つて多かつたが,その後1日0.5〜1g更に週2回の間歇投与で少くとも慢性肺結核に対しては効果は同様で,副作用はずつと少くなり,且藥剤に対する耐性出現率をも減らすことが出来た。然しシユーブ,粟粒結核,特に腦膜炎では,やはり強力投与の必要があり,その副作用も多い。この副作用を防ぐ為複合SMが作られた。SMとDihydroSMを夫々に50%混合したもので副作用は夫々単獨の場合に比し遙に少いという。
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