研究報告
撒布隣接田に於けるホリドール中毒例について
田波 潤一郞
1
1千葉大学医学部衞生学教室
pp.84-86
発行日 1953年12月15日
Published Date 1953/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201306
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1)緒言 二化迷虫対策として採用された有機燐剤の撒布は昭和27年度の試験期を終えて28年度より全般的な使用に乗り出した。私は農村衞生研究の一端として千葉県山武郡地方の衞生指導に当つていた関係上毒物である本剤の使用に関し,一般農家に対しては地方事務所を通じ,農業技術指導員には集合教育を行い,児童に対しては地区別にPTAの会合を通じてその啓蒙に努めて来た。本年米作期に入つてから6月未までに9例のホリドール(以下ホと略す)中毒例を経験したが,その1例は撒布地域に隣接した苗田に於ける中毒であつて被害形式が苗取り作業に関係しているのでこの概要を述べ指導の参考にしたいと思う。
2)被毒状況 第1図に宗したホ剤撒布田には6月9日午後2時頃より一段歩当り2000倍ホ乳剤1斗を撒布した。当時は毎秒5m位の風が図に示した方向に吹いていたと言う。被毒者は次の3名であつた。
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